2015年7月11日土曜日

高校生の英語の教科書はすごい!

いろんな高校の学生が学んでいる英学塾では、多くの英語の教科書を目にする機会がある。そしてその内容の素晴らしさに感嘆する。

先日、「万人のためのデザイン」(2015年刊)--過去半世紀にわたる「ユーザー中心設計」の進化、発展を物語るデザインプロジェクトを120点近く掲載した本ーーを読んでいると、それら素晴らしい製品がクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館に展示されているという記述があった。

「ん?クーパー・ヒューイット?」なんだか聞いたことがあるぞ、と思い出したのが、高2生の使っているMAINSTREAMという教科書だ。

教科書の”Design for the Other 90%"という章に、社会的課題を解決するのにデザインの力が重要だという話が載っていた。そこでは、途上国で川や井戸から水を運ぶ女性や子どもが首や脊髄に損傷をうけることが多いという問題を解決するために、「Q ドラム」という、引っ張って水を運ぶことのできるドラム缶(プラスチック製)が紹介されていた。そしてそのQドラムが展示されている場所が、クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館だと書いてあったのだ。すごい偶然!

さらにその数日後、Elementという教科書を高3生と呼んでいると、gritについて紹介された章があり、Angela Duckworthという、ペンシルバニア大学の心理学者による、「成功する人たちには知性に加えてGRITがある」という研究結果が載っていた。

「ん?グリット?ダックワース?」。思い出した。ちょうど去年、社会人の人達と英語の勉強をしている際に、TEDでDuckworthのプレゼンを聴いたのだ。そしてgritについてみんなで話し合った。このTEDでのプレゼンは2013年4月のもの、それがもう教科書で紹介されている!すごいなーと感心した。(ちなみにgritは目的を定めてやり続ける力のこと。塾生に聞くと、学校の先生はこれを「気骨」と訳されたそうで、うーーん、最近「気骨」って言葉はもうあんまり聞かないねーと話したのでした。)

社会情勢、経済、政治、福祉、環境問題、物語、文化、文学、音楽、絵画、化学、自然、テクノロジー・・・。高校の英語の教科書の内容の多様性には目を見張るものがある。高校生は英語を勉強するのが精いっぱいで、なかなか内容の深い部分までは理解することができないけれど、少しでも余裕があれば、それを糸口に興味を広げていってほしい。(こんな素晴らしい教科書、誰が作っているのでしょう?)

勉強する姿勢

英学塾は個別指導、それも完全な一対一。一人の生徒に一人の先生、いえ先生というよりも担任が、塾生の進捗状況に応じた授業を展開します。だからこそわかるのが、塾生の勉強に対する姿勢がどんどん変わっていく様です。
去年7月に初めて塾にやってきた高校生。英語が大嫌いで、中一からほとんど勉強しないままここまで来てしまった、とかなり深刻な顔つきでした。授業をしても、素直に必死に聞いています。でも、そこまででした。授業を受ける姿勢が受動的です。
ところが一年たった今、英語の力がどんどんついてきているのが、彼の授業への取り組み方からわかります。授業中、鉛筆を握りしめ、わからない言葉や表現が出てくると、すぐにノートに書き出します。「今先生の説明はよくわからなかった」「今の説明は・・・ということですか」と、質問が飛び出します。手を使い、頭を使って、授業を受けているのがわかります。能動的な姿勢に完全に変化しています。辞書も頻繁にひくようになりました。自習に来る回数も増えています。
ここまでくればもう大丈夫です。英語の成績は、というと、まだ希望大学の合格圏には入っていませんが、この姿勢でこの夏休みを過ごせば、どれほどの力がつくでしょう。

英学塾では塾生の勉強への姿勢が変わるかどうか、それを成果の尺度にしています。
もちろんテストの点数や英検の合格、模試での偏差値など、英語力を測る尺度はたくさんあります。でもそれよりももっと確実なのは、受け身な姿勢が能動的な姿勢に変わったかどうかです。
そしてこの尺度は英語だけではなく、あらゆる取組にも通用する、将来にわたって大きな財産になっていくものだと、私たちは思っています。

2015年6月9日火曜日

リスニング強化は子音から

リスニングが苦手という子どもたちがたくさんいます。
日本ではよく rとl、vとb、shとs・・・など、同じような音の違いが聞き取れないと言われ問題になりますが、それよりもはるかに問題なのは、子音の音が聞き取れないことです。
子音といっても母音とくっついている音ではありません。子音だけの音です。
たとえば、今日の授業では、outputという単語が挙がりました。
これは「アウトプット」と日本語でも使われますが、どうも「アウプ」と聞こえるようです。
二つの「t」の音は、子音だけ。「t」の口の形をするだけで、ほとんど息も出さないで次の音に移り、無声に近い音です。

「子音」に強くなるには、英文を目で追いながら英語を聞き、英文通り聞こえない箇所に下線を引くなどして、自分が聞こえない苦手な音が何かを知ることです。
そして、次になぜその音が聞こえないのかを考えてみることです。リエゾンや脱落など、英語の発音には、いろんな音の癖があります。そのなかのどれにあたるのか。
苦手な音がわかれば、ひたすらそれを聞き、自分で言ってみることです。必ず自分で言うことが必要です。その際、outputをアウプと言ってはいけません。あくまでも、「t」の音を発音するための口の形を作り、「t」の音を一瞬出そうとすることが大切です。その一瞬を自分の口で再現すると、outputが正しく聞こえてくるようになります。

一単語ずつやっていくなんて、なんだか、気の遠くなるような話だと思われるかもしれませんが、慣れてくると、どんどん聞こえてくるようになりますから、まずは子音を意識することから始めてみてくださいね。

迷わない勉強

6月7日は今年度第一回目の英検でした。解答速報を見て採点した塾生から、「合格しました!」という嬉しいメールが舞い込んできています。一発勝負の試験は厳しいけれど、合格するこども達には、ある一つの共通した取り組み方があります。
それは、迷わないこと。
英検でも入試でも、TOEICでも、いろんな参考書が出ています。
勉強の仕方に関する本もたくさん出版されています。
また、塾の数やその種類もほんとうにたくさん。
そんな中で、何が最もいい勉強法なのか、参考書なのか、塾なのか、どうしても迷ってしまいます。少しでもベターな方法を、いや、ベストな方法を、と思うのは当然かもしれません。

でも、本当は、ベストな方法などないのです。
唯一あるとすれば、やり遂げること。
迷わないこと。
ひたすら、たった一冊の参考書を、一つの方法を、やり遂げることです。
どんな問題集でも、一冊やり遂げると、必ずそれまで見えなかったものが見えてきます。
そこでまた次の一冊を選ぶ。
迷わない。ひたすらやる。
それが合格への最も近道です。

今回英検で合格したとメールをくれている中高生は、みんなひたすら、迷わず、問題をやり続けた子どもたちです。
さあ、次は、二次試験にチャレンジです。

2015年5月27日水曜日

英検、TOEIC、入試問題…出題者の意図を読み解く

「塾生のニーズに応じた授業」を提供する英学塾には、いろんな試験に向けて勉強しにくる塾生がいます。大学の指定校推薦のための英検二級、社内規定のためのTOEIC730点、そしてもちろん、大学入試のための勉強。その誰もが、膨大な過去問と取り組みます。問題を解き、解答を見て、答え合わせ。間違っていれば、解説を読んで理解・・・。

そこで「ちょっと待った!」と声をかけます。「本当に理解できた?」

講師からの問いかけは、例えば、「この問題では、出題者の意図はどこにある?」「出題者は必ず何らかの目的を持って、問題を作っているはず。どの文法項目の何を知っているかを、ここでは試されているのかな?」

例えば、前置詞のtoと不定詞のtoが見分けられるかを試されている、この動詞の用法が正確にわかっているかを試されている、この構文が正しく理解できているか試されてる、などと答えられれば大丈夫です。もし答えられない場合は、一つひとつの問題を出題者がどのような意図で出しているかを、きちんと塾生に理解してもらうことが、講師の役割です。

間違いはなかなか一人では勉強できません。なぜなら、問題の意図が理解できていないからこそ間違えたので、解説を読んでもすぐにはわからないからです。

最初は一つひとつ理解するまで、時間がかかります。けれども、英検にも、TOEICにも、入試にも、必ず傾向があります。丁寧にやっていくと、その傾向が見えてきます。授業をしていると、「またこのポイントを聞いているね。TOEICって本当にこの問題が好きだね」「英検2級はどうもこの文法項目を重視しているみたいね」と、塾生を言葉を交わすようになってきます。そうなれば、もう合格は目の前です。

英語の勉強は、最初は丁寧に丁寧にやることです。でも、いったんわかってしまえば、あとはそう難しくはありません。試験と名のつくもの、出題者の意図が透けて見えるようになれば、合格はもう目の前です!

2015年4月18日土曜日

覚悟とすきま時間

新学期が始まって10日。新学年を迎えた中高生が塾にやってきます。就活が視野に入ってきた大学生も、TOEICの勉強に入塾してきます。でもクラブ活動等々で、みんな本当に忙しい。
思いっきりクラブをして、疲れ果てているみんなが、どう有意義にこの一年間過ごせるのか、勉強の成果を出せるのか。塾としても悩めるところです。
そんな疑問に大きなヒントを、社会人の生徒さんからもらいました。
彼女は昨年5月に、会社が全社員にTOEIC730点を要求してきたために、入塾。その時のTOEICの成績は500点。そこからフルタイムで仕事をしながら、4か月で750点、そして今では800点台をとれるようになっています。

この成果のコツを聞いてみました。それは2点に集約されるといいます。「覚悟」と「すきま時間の活用」。
目標と期間を自ら区切って、それを必ずやり遂げるという覚悟。
そして、10分、いや5分でも、すきま時間をどう有効に使えるかだと。

このすきま時間の有効利用は、忙しい中高大生に大いに活用してほしい方法です。朝起きてから朝食を食べるまでの10分、電車のなかの30分、授業が始まる前の5分、夜寝る前の15分・・・。積み重なると、数時間に積みあがるこの時間を、どう有効に活かせるかは、覚悟を決めた人だけが、本気で取り組む気持ちになれるものです。

今年の英学塾には高3生がたくさんいます。来春の卒塾パーティをみんなで良かった!良かった!と言って迎えられるように。この一年は覚悟を決めて、すきま時間の有効利用で、大きな成果に結びつきますように!

2015年1月14日水曜日

最近のニュースからの気になる表現。

こんにちは!

英学塾で主に高校生を担当しているTです。初登場です。(実は講師陣の中で一番年下です)

私は主に、映画やドラマやニュースの中で、私が面白いなと思った英語の表現を紹介していこうと思っています。よろしくおねがいします!

さて、最近のニュースの中で、一番世間をにぎわしたのがフランスの風刺新聞社襲撃事件ですね。犯人たちは、新聞社襲撃の後、人質を取って2箇所に立てこもり、その後フランス特殊部隊によって射殺されました。本当に恐ろしい事件でした。

このニュースを英語で聞いていると、しきりに 'at large' という言葉が聞こえてきました。そう、まだ数人のテロリストたちが「逃走中」だというのです。 at large =「〈危険な人、動物が〉監禁されないで、つかまらないで、自由で」(ジーニアス英和辞典)

では、なぜ large = 「大きい、広い」という単語を使った熟語である at large が「逃走中」という意味になるのでしょうか。

不思議に思った私は、ちょっと調べてみました。その結果、large という単語がはじめて使われたのは12世紀。起源はラテン語のlargus であるということがわかりました。おそらく1066年の《ノルマン征服》で入ってきた単語なのでしょう。 このラテン語 largusの意味の中に「豊富な」とか「自由な」というのがあるのです。だから、現代の英語のlarge にも「自由な」というニュアンスが残っているのでしょうね。

large = 「自由な」というのもなんだかぴんと来ませんが、at large = 「逃走中」は、いつだったかの英検2級の問題にも出ていましたから、英検2級を受けるつもりの方はぜひ覚えておきましょう!もちろんそれ以外の人もね!